2012年08月11日(土曜日)
おしょろさまと家庭の文化
我が家では、毎年お盆になると茶の間に精霊棚を飾りつける。地元の言葉では「おしょろさま」と呼ばれる棚飾りだ。床から戸の上部のサッシ(といっても木だけれど)の高さにちょうど合うように作られた、木の細い柱を4本立てて、ちょうど腰の高さくらいに板を引き、そこにお供え物を飾る。お供え物の奥には仏画がかけられ、周囲には多聞天、持国天といった仏教四天王の名や教文が書かれた札が下げられる。そして棚の全面上部の柱からはおしょろさま用に小さく作られたカボチャやインゲン、ホオズキなどが糸で吊るされる。手前に線香台や鐘を配置して完成だ。おしょろさまを組み立ててから家族で墓参りをし、そこで燈したロウソクの火をおしょろさまのロウソクと線香に移すことで、お盆のご先祖様のお迎えが行われる。この夏の風物詩は、いつもの茶の間に何か非日常なものが混ざり込んだ不思議な感じがして、その控えめながらもご先祖様をお迎えするという祭事的な飾りの面白さもあり、子供の頃からお盆になるとはこのおしょろさまが組み立てられるのを楽しみにしていた。