2012年04月22日(日曜日)

ラ・フォル・ジュルネ新潟プレ公演

 今年で3年目となるラ・フォル・ジュルネ新潟、今年は日程の都合上本公演には足を運ぶことができないので、せめてということで本日行われたプレ公演の方に行ってまいりました。松沼俊彦指揮 新潟交響楽団で、ショスタコーヴィチの『祝典序曲』と同郷のピアニスト小杉真二さんをソリストに迎えてのラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番。そしてチャイコフスキーの『くるみ割り人形』より抜粋です。新潟交響楽団の演奏を聴くのは初めてですし、小杉真二さんのピアノも10年ぶりくらい。楽しみにしておりました。

 演奏は一曲目のショスタコ『祝典序曲』。これがよかった。一聴ガタ響は金管にパワーがあるオケだと感じましたが、この曲のクライマックスでは正にその金管が炸裂。ステージ後方の2階席にも並んだトランペットが最後豪快に音を出して大音響・大迫力の中フィニッシュします。気迫のこもった演奏に、後ろの席に座っていた見知らぬ人も「これはアマオケのレベルじゃないな」と感心しておりました。

 続くラフマニノフのピアコン2、割と音量で力押ししてくるタイプのガタ響に対して、小杉さんのピアノは一人で立ち向かうにはちと線が細い感じでオケが強奏するとピアノはまったく聴こえなくなるくらい。特に第1楽章はほとんどピアノなんて聴こえないくらいバランスが悪く、ちょっとひやひやしたものでした。とはいえ第2楽章や、アンコールで演奏されたチャイコフスキーの『10月秋の歌』での繊細でロマンチックな歌い回しはさすが。しっかりと音楽を堪能させてくれました。

 後半最初に行われたインタビューで語ったところによると、小杉真二さんは今回ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番初挑戦で、演奏依頼があった時最初は断ったんだそう。最終的には引き受けて、この難曲に3ヶ月足らずでの準備で臨んだそうです。彼が語ったラフマニノフの言葉。「音楽は心から生まれて、心に届かなければ意味がない」。 ラフマニノフは割とカッコよさ重視のような印象を勝手に持っているのですが、そのラフマニノフがこのような言葉を語っていることは少しばかり意外でした。

 『くるみ割り人形』も多少荒っぽいながらも気持ちの入った快演。ガタ響の今回の公演にかける気持ちが伝わってくる熱い演奏でした。

 新潟のクラオタ達の話によると「とにかく揃わない、演奏力が低い」ことで有名らしい(?)新潟交響楽団。あまりにいい話を聞かず、酷い噂ばかりなので「そんなに?そんなに酷いの、ガタ響!?」と思っておりましたが、聴いてみるとなかなかどうして、そんなに悪くないじゃないですか。確かに縦の線が揃わないこともしばしばあるし、パワフルな金管に比べるとちと弦は音量不足だし、全体的にピッチの甘い感じもしますが(特にホルン)、指揮者を中心に自分達の音楽を見据えてそこに向かって突き進んでいくパワーと熱気は素晴らしい。音楽への意思が感じられる演奏でした。テクニカルな面はともかく、これなら音楽としてそう悪く言うこともないのにねと思いながら、今回の公演は幕を閉じたということです。

 さて、私のラ・フォル・ジュルネ新潟は今年はこれで最初で最後。また来年、新潟で開催してくれることを祈りつつ、本公演も行かれる皆さん、是非楽しんで来てください。

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