2011年11月06日(日曜日)
上野にて文化の日
さて、3日から妻子と共に妻の実家である佐賀に盆・正月代わりの帰省という形でお邪魔していたわけですが、今回も妻子は二週間ばかり佐賀に滞在するため、本日一旦自分は一人で新潟に帰ってまいりました。その際、佐賀空港から羽田に飛んで、東京を経由する形で帰ってきたので、まぁ折角東京に来たんだしということで、ちょっと一人で東京で遊んで帰ってきました。
東京駅から近くて、ノープランでも遊びやすいところとなると個人的には上野になります。美術館も東京文化会館もあって、一年中いつ行っても大抵何かやってるので、東京駅を起点にするなら便利な所。今回もとりあえず行ってみたら西洋美術館でゴヤ展をやっています。ゴヤはクラシックギターで最も重要なレパートリーの一つであるグラナドスに多大なインスピレーションを与えた存在。有名な『着衣のマハ』も見られるということで、これはギター弾きとしては逃すわけにはいきません。まずは行ってきました。
ゴヤの作品をまとめて鑑賞するのは初めてでしたが、有名な『着衣のマハ』に代表されるように、女性の官能的な魅力やその裏に隠れた闇を描き出した画家ですが、実はそれ以上に世の中の闇に非常に敏感に向き合った人でもありました。それは女性を中心に描いていた頃は女性の魅力と裏腹の恐ろしさ、醜さという形で、後年にはより不気味な幻想世界の描写という形で、現れるようになっていきます。だから彼の作風はエロスに留まらず、次第に時代への風刺とともに強烈なタナトスを織り込むようになっていきます。
それらの作品群を見ていて感じたのですが、痛烈な教会批判もしたゴヤが、一番疑ってかかって挑んでいたのはやはり神であり、ひいては正義や真理といった概念だったんじゃないでしょうか。そういったものが本当に存在するのなら、何故この世界にはこんなに痛みが、苦しみが、死が蔓延しているのか。彼の作品はそう叫んでいるように思えます。特に晩年近くなってからの不気味に幻想的な作品群からは、そのようなメッセージを強く感じるのです。
そしてゴヤ展を鑑賞した後は、お腹が減ったので一蘭でラーメン。一蘭のラーメンは久しぶりですが、やっぱり美味しい。有名店の名に恥じないクオリティで楽しませてくれるお気に入りのラーメン屋です。
ラーメンを食べて満足した後は、東京文化会館へ。この日は東京文化会館の50周年記念ということで、『東京文化会館は音盛り。 〜うえの音楽人フェスティバル〜』ということで一日中コンサートが催されていたのです。私は16時からのプログラムに行ってきました。演目はヴェルディの歌劇『運命の力』序曲、モーツァルトのフルート協奏曲第1番K.313より第一楽章、そしてラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、上野学園大学管弦楽団の演奏です。この演目でチケ代は2,000円ですから安いもの。上野学園大学管弦楽団は学生と教員が混ざったオーケストラですが、さすが音大のオケだけあってなかなかいい音鳴らしてます。印象的だったのがラフマニノフ。ソリストは何と高校三年生(!)の古賀大路さん。10月にコンクールで3位入賞(?)されたとのことですが、この高校生がなかなか凄い。とても高校生とは思えない深いフレージングで、さすがにまだ少々力尽くではあるものの、それでもラフマニノフに負けずにしっかりと音楽を刻んでいきます。恐らくこのステージにかけての意気込みは強いものがあったのでしょう、最後まで集中力を切らさず一心に弾く姿と音楽は素晴らしいものがありました。演奏後、何度も何度も客席、指揮者、オケにぎこちない礼を繰り返す辺り、まだステージ慣れしていないし、凄く生真面目な人なんだなぁと感じさせて、ちょっと微笑ましくもあったり。まだ高校生とのこと、将来どうなるかわかりませんが、順調に成長していけばいい音楽家になるんじゃないかと思いました。
そしてコンサートが終わったら足早に上野駅に戻ってそこから新幹線に乗って新潟に帰るわけですが、半日で上野をたっぷりと堪能いたしました。こうしてぶらりといってもたっぷり文化に浸れるところが上野のいいところですね。2011年11月6日、一人で勝手に上野で文化の日をやっていました(笑)。
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