2007年04月01日(日曜日)

桜は嵐に負けず

窓から見える桜  今年も桜の季節がやってきた。やってきたが、今年の桜は例年以上に短命そうだ(苦笑)。昨日になって家の周りを歩いていたら、ふと桜が満開に近づいていることに気付き、「ああ、そうか、春か・・・」と感慨に耽ろうとしたのだが、何かおかしい。何か。そう、昨日は日中晴れてはいたものの非常に風が強く、まだ八分咲きの桜が満開になる前に咲いた傍から強風で吹き飛ばされて、あっという間に桜吹雪になってしまっているのだ。満開になる前に散ってしまったのでは、いつまでたっても満開の桜にはお目にかかれそうにない。加えて夜の台風のような強風と豪雨。窓ガラスが割れるんじゃないかと思うくらいに春の嵐が荒れ狂っているのを見て、「ああ、こりゃ今年の桜は全滅だ・・・」と思ったものだ。

 ところが朝、窓を開けてみるとどっこい結構きれいに咲いている。さすがに部分的に吹き飛ばされて葉が見え隠れしてはいるものの、なかなかどうして、充分桜だ。日本的儚さの象徴として扱われることも多い桜だが、意外に強烈な嵐にも負けないような芯の強さを持っている。まだ散る時期ではない桜は、実はそう簡単に雨風に吹き飛ばされたりはしないものなのだなと、変に感心した。実に見事に日本的な美学を体現している。満開の桜の、淡く控えめな色で華やかに空までも染め上げる静かに存在感のある美しさ。散り行く際に風に吹かれて宙を舞い、優雅に余韻を引きつつも、それでも「まだもう少し見れたらいいのに」と思っている間にすっと身を引いて消えて行くあの潔さ。そして散り行くべきではない時には凶暴な春の嵐にすら負けずに花を咲かせる凛とした芯の強さ。大したものだ。この木が日本人に愛されるのは単に花が美しいからだけではないのだなと改めて感じた。

 とりあえず写真はウチの窓から見える一番近い桜の木。この辺りには方々に桜が咲いていて、丘を登りきって一番高い場所に位置するウチのマンションの窓からは眼下に住宅の間を縫うように折り重なって咲いている桜のパノラマが広がっていてなかなかきれいだ。去年ここの鍵を受け取った時にちょうど桜が咲いていて、なかなかこの景色は気に入った。また、来年も美しく咲いてくれることを祈る。

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