2006年07月23日(日曜日)

結婚式当日 - 儀

 ぐっすり眠ったとはいえそもそも睡眠時間が短くて寝不足なまま迎えた結婚式の朝。昨晩の激しい雨を受けて湿った空気の中、朝7時前の嵐山をギターを持って歩きました。本当はオルゴール博物館に行く途中でコンビニを見つけて朝食を買っていきたかったのですが、なんと朝の嵐山には開いているコンビニがありません。前々から会場の担当の方に「当時は必ず朝ご飯は食べてきてください。そうでないと保ちませんから」と何度も釘を刺されていたにも関わらず、結局当日の私の朝ご飯は自動販売機で買った野菜ジュースのみでした。・・・ま、いつものことだし大丈夫だろう、と。こちとら朝から水も飲まずに24時過ぎまで仕事して、超空きっ腹のところにいきなり赤ワインとか入ったりする生活してるんだから。そう、自分を納得させて演奏のリハーサルをし、式の衣装に着替えてリハーサルをこなしていきました。

 しかしちょっと驚いたのは式の前、まだ来賓の皆さんが来場する前に行われるアルバム向けの写真撮影。会場直属のカメラマンが撮影してくれるわけですが、ここにきてこういうポーズを決めてくれとか、もっとこんな表情でとか、まるでグラビア撮影でもしているかのように色々注文が飛んできます。いやー、こういうものなんだなぁと思いながらポーズを決めていましたとさ。

 いよいよ式が始まります。控え室で妻の姉と妹に続き三度目のエスコートながらやはり緊張している様子のお義父さんとお話をし、ギャツビーのフェイシャルペーパーで二人で顔を拭いたりしながら出番を待ちます。ここに来るまで緊張感というもののあまりなかった私ですが、まぁさすがに式本番が近づいてくるにつれ緊張くらいはしてきます。そんな中開式直前になって会場の方からきよとmachakicとMaza-hが来てないが来場を待って式の開始を遅らせるかどうかといった打診があって、それぞれに連絡を取ってみたり、なかなか、式の直前までドタバタしてながら時が過ぎていきました。すると、そしていよいよ出番の声がかかります。

 式は、意外とあっさりと始まりました。新郎は最初一人で出て行き、新婦が父にエスコートされて入場するのを待つことになるわけですが、控え室を出たらもう袖で待機などする暇もなく行っていいと言われ、「え、もう出て行くの?」くらいの感じで、集中力を高める猶予もなくサラッと送り出されます。そのちょっと肩すかしを喰ったような気分から抜け出せず、緊張を集中に変えるきっかけもつかめないまま、僕らのミスター・オートマタが開式の旨を告げます。リハーサルの通りに前へ出て行きコインを受け取り、ディスク・オルゴールにコインを投入します。中からカタンと機械が傾く音が聞こえ、一瞬の間をおいて曲が流れ始めます。J.S.Bashの平均律クラヴィア曲集第1巻の最初のプレリュード。その最初の数音が鳴るのを確認して私は祭壇の前のバージンロード中央に移動します。お義父さんが妻をエスコートして、オルゴール特有の柔らかく澄んだ響きの音楽が空間を包む中ゆっくりとこちらにやってきます。向き合って一礼をし、お義父さんから私へ妻が渡される際、小さな声で「よろしく頼むよ」と言われました。緊張やら何やらですぐに何と応えていいのかわからず、笑いながら(それも笑いになっていたのかどうか自分ではよくわかりませんが)「はい」とだけ返しました。この時に限らず、実は式の間は緊張の中、ただ一回だけリハーサルしただけの手順を思い出しながら如何に間違えずにスマートに行動するかというので結構一杯一杯でした(苦笑)。

 式は進み、二人で誓いの言葉を読み上げます。妻は、泣きそうになっていました。実は、私はリハーサルの際少し泣きそうになったのですが、本番では油断せずに心を強く持っていたのでここは大丈夫でした。いやいや私の涙は意外性があり過ぎて絵にならんでしょうということで。そして二人で選んだ誓いのオルゴールを向かい合ってはさんで、その上でMaza-hに作ってもらった指輪を(作成者本人不在の中)交換し、オルゴールの蓋を閉じることで誓いをオルゴールの中に封印します。ギド・リュージュ社の職人の手によるハンドメイド・オルゴール。式の中ではこのオルゴール自身をならす機会はありませんでしたが、曲は3アレンジ入っている『カノン』です。このオルゴール博物館でのウェディングならではのハイライトです。リハーサルの際「できるだけゆっくり」と指示されていたのでそのようにしていたのですが、妻は案外あっさりパタンと閉めてくれました(苦笑)。ま、いいでしょう。そして二人と両の母親が結婚証明所に署名をし、それを来賓の皆様に披露して祝福を受け、式次第は終わります。退場する中、親戚や友人から「おめでとう」と祝福され、これまでの人生の色々な場所で出会った人達が今同じ場所にいることに違和感と幸福を感じながら、式は無事に終わりました。とりあえず、ほっと一息です。

 今回は式と披露宴の間に妻の髪型のチェンジがあるので、その間をメッセージカードの記入とスライド上演で時間を稼ぐ寸法だったわけですが、その空いた時間の中でBGMとして流しておいたブランデンブルグ協奏曲第3番第1楽章と同第6番第3楽章を聴きながら、一仕事終えた充足の中と集中力の仕切り直しを図っていたわけです。空腹と緊張で少し頭がボーッとしていますが、ここで疲れている場合ではありません。何しろ三次会まで、長い一日はまだ始まったばかりなのです。

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