2005年09月02日(金曜日)

EXPO 2005『愛・地球博』- 皇太子/アルゼンチン館/アンデス共同館

 午前中にオーストラリアと東南アジア・南太平洋周りのパビリオンをおおまかに制覇した後、自転車タクシーに乗ってグローバル・コモン1まで行って(自転車タクシーはそこまでしか行かないのです。タクシーのくせに定路巡航)、そこから歩いてグローバル・コモン2へ。お目当てはアルゼンチン館とアンデス共同館。私のリクエストです。まぁせっかくアルゼンチンやアンデスがパビリオンを出しているというのであれば、アルゼンチンタンゴとフォルクローレを目当てに行かないわけにはいきますまい。さーて、どんな感じかな、と楽しみにグローバル・コモン2に辿り着いたのは15時前くらいでした。そして入り口の各パビリオンの混雑状況が見れるボードで混み具合を確認。すると、なんとあろうことかアルゼンチン館とアンデス共同館は「閉鎖」とかなっています。それぞれ15時と15時半まで。「なんてこったい、なんでだよ」と情報を整理してみると、なんと今それらのパビリオンを皇太子が観に来ていて、そのため一般人は入館禁止とのこと。・・・皇太子かよ!そういえばやたらと警備員も多いし、今皇太子が中に入っているアンデス共同館の前にはなかなかの人だかりができています。「だから俺もそこに行きたいんだって!」と心の中で叫んでみるも、皇太子にケンカ売ったところで周りのSPにあっという間に制圧されるのは目に見えているので(苦笑)、仕方なくキューバ館とかを適当に眺めながら時が経つのを待っていました。

 そしてしばらく時間を潰し、「そろそろかな」とアンデス共同館の前まで行きます。すると、ものものしい警備の周囲に文字通り黒山の人だかり。といってもトヨタやヒタチのパビリオンに並ぶ人程多くはありませんでしたが、それでもそこより狭いスペースに結構な数の人がいます。周囲の会話を盗み聞きすると、もう皇太子が出てくるとのこと。「ほう、出てくるのか」と、それならついでに皇太子をこの目で見ておくのも悪くはないなというコンセプトの下、私も人ごみの中に加わってきました。そして待つこと10分弱。アンデス共同館より皇太子が出てきました。なんかパビリオンの責任者みたいな人と握手してます。たまにTVで見るあの笑顔です。群衆の方に向き直り、背筋を伸ばして右腕を上げ手首を曲げずに肘から先のみで控えめに手を振るおなじみのあの仕草で人だかりに応えます。姿勢がいいです。姿勢がいいです。人に決して不快感を与えることはなく、かといって下手に出るようなそぶりも見せないあの独特の表情。きっと研究しているんでしょう。大したものです。皇族というイメージを守るのも大変です。数分程、大衆の前に姿を見せた後、彼はパビリオンの裏に停めてあった専用車に乗って去っていきました。う〜ん、皇族っていい身分のような気もしますが、生まれたときから死ぬときまでずっとあんな感じでイメージ守りながら過ごすのはかなり大変だろうなと思いましたよ。特に今の日本だとなおさらでしょう。プレッシャー、あるんでしょう、きっと。そんなことを思いましたとさ。

 そしてやっとオープンしたアルゼンチン館とアンデス共同館です。アルゼンチン・タンゴは行ったタイミングが悪く上演を観ることができず、おそらくその上演に全精力を注ぎ込んだのであろうパビリオンはそれ以外に観るところも特になく(泣)、仕方なしにアルゼンチン観光局の絶景のポスターを数枚もらって帰ってきました。なんか全体的にこのグローバル・コモン2のパビリオンって他と比べてスペースが狭いんですよね。アンデスもそんなのなのかなと不安に思いながら、次はいよいよアンデス共同館です。

 アンデス共同館は海中から山の頂上まで、薄暗い廊下を上りながら壁に展示されたアンデスのたくましい自然の写真を眺めてアンデスの自然に触れるというコンセプト。写真は美しいですしたまに変な動物がいたりして面白いのですが、私の目的はそこじゃありません。音楽です。「ん〜、音楽は展示ないのかなぁ・・・」とちょっとガッカリしつつ、山の頂上に当たる廊下の踊り場を曲がって次の部屋に入ります。そこはペルーやエクアドルの文化を展示した小部屋になっていました。そこに入って少しして、突然大音量で音楽が流れ始めます。曲名はわかりませんが、高らかに鳴り響くケーナにチャランゴ、ボンゴといった独特の楽器達。ラテンの情熱を引き継いだ熱いリズムと、高山の薄く澄んだ空気を思わせる音色に旋律。間違いなくフォルクローレです。エクアドルの小さなブースにいた女の人(明らかに日本人)が音楽に合わせて手を打ち踊り始めました。どう見てもダンサーではない、タキシードを着たブースの案内役みたいな人です。仕事そっちのけかよ(笑)。スピーカーから流れてくる大音量の音楽に、「音楽の展示はなくともまぁこれはこれでよしとするか」と溜飲を下ろして次の部屋に行きます。すると・・・、

 なんと、部屋に入ってすぐ左手奥にステージがあり、そこで生演奏が行われています。さっきからスピーカーから聴こえていたのはこの生演奏の音だったのです。しかもステージ上にいるのは間違いない、あのSISAYではないですか!SISAYはメンバー全員がエクアドルのネイティブ・アメリカンという生粋のエクアドル民族音楽バンドで、学生時代に京都駅の大階段で演奏しているのにたまたま出くわし、その際にあまりに演奏が素晴らしかったので思わずその場で一枚CDを所望してしまったという私にとって曰く付きのバンドです。まさか愛知万博で再会できるとは思っていませんでした。また相変わらず演奏が熱い。1983年にエクアドルで結成されたこのバンドは、現在は当時のメンバーの息子達でバンドが構成されています。「聴くものの心に平和と調和をもたらし、共に分かち合うことができたらどんなに素晴らしいだろう」というメンバーの願いがいつか花開くようにと付けられたバンド名がSISAY(花が咲くという意味)だそうで、ネイティブ・アメリカンの誇りを大切にする彼らは、本当にエクアドルの空気がそのまま伝わってくるような、生き生きとしたリズムで高山の薄い空気の澄んだ空を飛び回るような、活気のある音楽を聴かせてくれます。自然と体が動き、耳はステージに釘付けになります。CDや民族楽器を売っているブースでは、やはり女の人(明らかに日本人)がやっぱり仕事そっちのけで踊っています。こういうパビリオンで働いてる人って何かしらその国に関係している人なんでしょうし、好きなんでしょうね、きっと。

 というわけで今回もかなり心を熱くしてくれたSISAYの演奏を堪能し、CDを二枚購入し、VTRを一本オマケにもらって、リーダー(?)のルイス・マグワイアのサインももらって、一気にテンションを上げてアンデス共同館を後にしました。皆さんも万博に訪れたら是非寄ってみてください。15分演奏、10分休憩おきくらいのペースでSISAYはライブやってるみたいなので。素晴らしい音楽を体験できることでしょう。

 そして私のリクエストである2つのパビリオンを制覇した後は、今度は連れのリクエストであるスペイン館のタパス・バーで食事をするため、グローバル・コモン3へ。グローバル・コモン2から3へ移動するには、グローバル・ループを結構長いこと歩かないといけません。ちょうど時間は4時過ぎくらい。やっと暑さも少し収まり、歩きやすくなって来たグローバル・ループをお散歩がてら歩いていきました。

続く(次回は意外なイベント2/大道芸/スターシェフメニューの予定です)

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