2005年04月29日(金曜日)

ベルギー象徴派展

 GW初日の今日、私は午後から元気に仕事してました(爆)。しかも何だかやたらに鼻炎が酷く、鼻水とくしゃみに耐えられなくなって朝目が覚めたほど。手持ちの抗ヒスタミン剤は飲んだものの、結局今日一日で箱ティッシュ1つ丸ごと使い切るくらい鼻かみました・・・。

 そんな中仕事を無理矢理夕方に切り上げた私は、『GW企画・たまには渋谷を楽しもう』と、一人文化村へ向かいました。目指すはBunkamura ザ・ミュージアム、『ベルギー象徴派展』です。例によって普段は絵画に興味をほとんど持たない私ですが、電車で吊り革広告を見て以来ずっと地味に気になっていたのです。フェルナン・クノップフやフェリシアン・ロップス等、ベルギー象徴派の幻想的・耽美的な世界に浸ってみるのも悪くなかろうと行ってみたわけです。

 ひどく鼻がぐすぐすする中、ゆっくり一時間ちょっとかけて見て回ったわけですが、その中でも印象に残ったのを列挙していくと、まずはロップスの魔性の女達。『毒麦を蒔く魔王』、『略奪』、『偶像』、『生贄』、『磔刑』の5つの作品からなる、非常に暗く、悪魔崇拝主義的な連作です。リトグラフの細かい線が暗闇の濃淡だけで情景を浮かび上がらせるようなこの作品は小さい枠の中に描かれたものでありながら妙な力を持っていました。次はレオン・フレデリックの『祝福を与える人』。紫色の法衣をまとった老人が祈りを捧げている姿が59×59cmのキャンパス一杯に描かれている、言ってしまえばただそれだけの絵なのですが、何に驚いたかってその凄まじい生々しさです。遠くから見たときは「写真か?」と思ったくらいです。このレオン・フレデリックという人は写実的な作風で知られるそうですが、写実的とかそういうレベルじゃないだろうと思いましたとさ。

 そしてベルギー象徴派の要であるフェルナン・クノップフです。まず最初に幻想的な作品ではなく、非常に写実的な風景画を観たのですが、これがかなりよかった。『ブリュージュの思い出-ベギン会修道院の入り口』や『フランドルの思い出-運河』、『ブリュージュ-教会またはブリュージュの聖母教会の内部』など、淡い色合いで鉛筆やパステルを用いて描かれたこれらの風景画は、まるでその場所から風景を時間ごと切り取って持ってきたような非常に静かな叙情性を持っていて、観ていて哀愁すら感じてしまうような美しいものでした。またこれらの作品群は水面が非常にきれいに描かれているのです。この水面を描くために他の風景画存在していると言ってもいいくらい、水面に映り込んだ反射する景色が美しい。私が作曲家だったら、これらの風景画に1つずつ曲を付けていきたいなと思いました。静かで、音数が少なく、暖かみはあるのだけれどそれでいて寂しさも漂うようなそんな小品達を。そしてもう1つクノップフの作品で気に入ったのが『メリザンド』という女性のポートレート調の作品。これはベルギー象徴派の詩人・戯曲家であるモーリス・マーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザンド』を下敷きにして描かれた作品で、柔らかい光の中で少しもの憂げに目を伏せるヒロイン・メリザンドが描かれています。森の奥深くの泉の傍で泣いているところを王子ゴローに見つけられてめとられ、その夫の弟ペレアスをも惹きつけていく謎の美女メリザンド。その幻想的な恋愛悲劇はドビュッシーやフォーレ、シェーンベルグらが音楽を付けているとのこと。これはその他の幻想的な作品と違い、上記の風景画と同じように色鉛筆やパステルで描かれた淡く優しい風合いのものです。どうやら私は幻想的にきらびやかな作品よりこういった柔らかく控えめな作品の方が好きなようです。

 そしてその後はブックファーストに行ってロップスが挿絵を描いた小説『悪魔のような女達』を購入し、一蘭でラーメンを食べて帰宅したとのことです。ふう。

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