2005年01月15日(土曜日)
プログラマ職人気質
久々にメルトダウンしてしまいそうな程仕事が入ってきた昨年末から、意識して極力休日は仕事をせずに休息と趣味に時間を費やすようにしてきました。仕事のことばかり考えていたら視点が固定されてしまって、それは仕事にも人生にもいい影響を及ぼさないと思い始めたのが一つ。あまり根を詰めすぎると精神が惰性的になってきて、結局長い目で見ると能率は上がらないという経験上の理由が一つ。そして一昔前と違って今は私の仕事もチームで分担できるので、うまく回せば単純に人数分よりも多い仕事量をこなせるというのも一つ。チームが信頼できるというのはいいものです。
ですが、今日はそれでも久々に土曜出勤で、その上帰宅後も0時過ぎまで仕事をしていました。どんなにうまくやってもこなせない仕事量の臨界点というのはどうしても存在するわけですが、とうとうそれを超えてしまったわけです。トム・デマルコのいうところのスプリントの体勢に入りつつあります。まぁ、今日仕事していたのは私ともう一人だけだったので、真のスプリントではないですが。最近はマネジメントやら企画・提案・プレゼンといった、どちらかというと私の本意ではない(しかし会社的には願ったりの)仕事が主流でしたので、結構気持ちよくトリップしてプログラム書いてます。やっぱりプログラム書いてると本当に自分の手で作り上げたという感じがしていいですね。マネジメントや要件ヒアリング・提案・設計もまぁシステムを作る上で当然重要な(一般的にはプログラム実装作業以上に)ファクターではあるのですが、そうして旗振ってるだけじゃどうにももう一つ作り上げたという充実感が足りないのです。やはり私は手でギターを引くように、手で文章を打つように、手でコードを書いてシステムを作り上げるプログラムが本質的には性に合ってるようです。ま、世間的には「設計図をもとに作るだけの人足」的な扱いで、結構酷い言われようされますが(苦笑)。
しかしですねぇ、誰が言ってたのか忘れましたが(この業界の有名人であることは確かです)、ただ設計図通りの仕事をこなすだけのプログラマと、真に創造的な仕事ができるプログラマは明確に区別しなければならないのです。一般によいプログラマは並のプログラマの10倍の仕事を楽にこなすと言われ、それは統計的な有意性も検証されてます。その意味での「よいプログラマ」と、さらにその上の他の誰かでは実現できないことを実現させる「真に創造的なプログラマ」は、一般に上流工程と言われ待遇の良いコンサルタントやマネージャーよりももっと評価されるべきなのです。何故なら彼ら「真に創造的なプログラマ」はソリューションの幅を大きく広げてくれる。他の誰かや世間一般でできないと言われていることを、彼らができるということでコンサルや提案の幅が広がることもあるだろうし、実装の引き出しが広い人間は目新しいわけではない既存の技術の組み合わせで、普通のシステム屋が諦めるところを、あっさり実現してみせてくれたりする。ウチの会社で扱っているTSFormなんかは既存の技術の組み合わせでまったく新しいものを作り出した典型で、これにより新たなソリューションも生まれてくるわけですし、ちょっと企業秘密で具体例は出せませんが、必要があれば既存の規格でない通信プロトコルすら自前で作り上げてしまい、まともじゃ実現できないようなことをやってのける人もいます。実際に実現できる領域以上のコンサルや企画・提案、マネジメントはありえないしあってはいけない以上、その裾野を広げてくれる土台としての「真に創造的なプログラマ」は常に高く評価されるべきなのです。それはすなわちアイディアとイコールなのですから。結局のところ、コンサルだとかプログラマだとか、最終的にはそういったレベルで評価を決めるべきではないということです。要は如何に素晴らしいアイディア、ソリューションを提供できるかというのが価値であり、評価であるべきなのです。そう、たとえどのような仕事であれ、ファンタジスタであれと。そういうことです。
まぁ、そんな評価なんての自体が個人的には好きじゃないんですけどね。というか、そんなものは所詮後追いでしかないのです。ギターであれ、文章であれ、システムであれ、自分の手を動かして周りがまったく目に見えなくなる程集中して、納得のいくものが出来上がって満足感の中でほっと息をつくあの瞬間が、そして絶好調の時の精神が高揚して時間すら先取りできるような、音すら目に見えて手につかめるような、あの感覚が、やはり私は好きなのです。
まービジネスの世界じゃそんなんどーでもいーよって言われちゃうんですけどねー。
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