三月にもなって思い出したかのように降り出した南の雪。これを名残り雪というのだろう。冬に立ち返った玄界灘の風は冷たく、砂浜に打ち上げられ、埋まって乾いた貝殻が、敷き詰められた新雪の代わりにパキパキと足元で心地よく鳴る。クシュッと潰れる雪の結晶ではなく、小枝を踏み折ったような感覚で靴底を刺激する大小様々な貝殻。白い雲が浮かぶ青い空、小さな雪の欠片が潮風に舞う。何故ここにいるのかという疑問は不思議となく。ただ、これからどうするのだろうと。
このエントリーのトラックバックURL:
"南に降る雪"へのトラックバックはまだありません。
"南に降る雪"へのコメントはまだありません。
"南に降る雪"へのコメントはまだありません。