2003年05月07日(水曜日)
熱気を感じるアイリッシュ・ケルト『Lunasa』
- ayum
- 22:04
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- カテゴリー:アルバムレビュー
さてさて、昨日のことになりますが、入社以来昨年の最優秀新人賞(技術部門)に続き二年連続の受賞となる最優秀賞(技術部門)をいただき、朝礼で表彰され祭り上げられてしまいました。世の中何がどうなるかわからないものです。
というわけで泡銭も入ったことですし(爆)、今日は定時を回ってから会社を抜け出し、タワーレコードにCDを買いに出かけました。買ってきたのは二枚、最近ひたすらご執心のMicael Hedgesのベスト盤『Beyond The Boundaries』、アイリッシュ・ケルトの人気バンドLunasaの1stです。Micael Hedgesに関しては以前この日記で熱く語ったような記憶もあるので、今回はLunasaに焦点を合わせてみましょう。
アイリッシュ・ケルトというと日本ではエンヤがひたすら有名で、ほっておくとあの手のゆったりと叙情的なハーモニーを主体とした音楽とばかり思われてそうですが、実はアイリッシュ・ケルトの音楽にはもう一つの顔があります。そう、フィドルやパイプ、フルートやホイッスルがところせましと駆け回る、映画『タイタニック』でディカプリオが酒場で踊っていた時流れていたような、旋律は叙情的でありながらもアップテンポで熱く勢いのあるダンス・チューンです。このLunasaというバンドはそのダンス・チューンの方を演奏するバンドで、その圧倒的なまさに「熱のこもった」グルーヴ感と各楽器の織り成す比類なきアンサンブルの感性度の高さは他の同ジャンルのグループと比べても抜きん出ています。学生時代、アイリッシュ・ケルトにはまっていた京大の聖帝殿に貸したら「これは凄くいい」とのたまっておられました。特筆すべきはフィドルのショーン・スミスとギターのドナ・ヘネシーの二人が持つ、凄まじいまでのリズム感。フラメンコでいうところのコンパス感でしょうか。曲のリズムのアクセント、押し引きを力強く、軽やかに、本当に空を駆け回るように表現しながらアンサンブル全体をひっぱっていくフィドルの旋律とギターのリズムがこのLunasaというバンドの原動力です。このバンドではギターはリズム楽器なのです(笑)。ヘネシーのギターは難しいことをやるわけではありませんが、とにかく歯切れのいい、ダイナミクスやコンパス感がしっかり出てるリズムワークで、聴いてるともう体を動かさずにはいられないような気持ちいい演奏をしてくれます。純クラシックの演奏家にはなかなかないセンスなんですよね、これって(だから大抵のクラシック畑の人間が演奏するピアソラ始め南米系やフォルクローレの曲なんかは味気ない)。
ノリや即興を大切にし、ライブの空気を大事にする彼らは、この1stの大半は各地で録音したライブをそのままCDにしてしまったものだとか(爆)。恐ろしい熱気と、ライブとは思えない完成度です。中にはリハーサルなどまったくせず、合わせるのも初めてのぶっつけ本番でライブをやって、しかもそれがそのままこのCDに収録、という曲もあるとか。「どれだよ!?」って感じですね。どれも信じられない程いい演奏なんですよ。元々このLunasaというバンド、メンバー各々が色々なアイリッシュ・トラディショナル・バンドから引っぱりだこで、リハーサルの時間など取れないから、いつも現地でサウンド・チェックをしながら曲決めて編曲して、それでちょっとリハして本番、とかそんな感じらしいです。化け物だコイツら・・・。
この1stでのイチオシは6曲目の『Meitheamh』。空を駆け回るような奔放なフィドルをキレのいいギターが伴奏、という2つの楽器だけで始まり、フィドルがパイプに変わり、旋律が何回りかした後に一瞬のブレイク、そしてトュッティという私の中では「これこれ、これがLunasaだよ!」と叫びたくなる展開。ブレイクからトュッティに入る瞬間のリズムがたまらなく気持ちいいのです。Lunasaのエッセンスが凝縮されたようなこの曲、この名演は、明らかにライブ音源です。是非、機会があったら抜けるような青空がよく似合う、自由で生き生きとした彼らの演奏を聴いてみてください。
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