2003年03月29日(土曜日)

お薦め:マイケル・ヘッジス

 さてさて、見事に約一週間、このHPから姿を消してしまいました。案の定というか何というか、3月末の決算に向けての仕事の追い込みにやられていたわけですが、この一週間の私の生活がそれはどれ程凄惨なものであったか、それは敢えて語るまでもなく皆様のご想像におまかせしたいと思います。そして私はこの一ヶ月半程、土日祝日含め一日しか仕事を休めませんでした・・・。まぁ、おかげでとりあえず私の担当プロジェクトは全て売り上げを計上することができたという意味では無事に一区切りが付いたわけです。とはいえ残務やら何やらの余波で、まだ今日も明日も仕事なわけですが(爆)。まぁあと少し、終わりは見えてきたので楽になりました。

 この一ヶ月程、私は社内にいて定時を過ぎた後は「音楽でも聴かなきゃやってられるか!」と心の中で叫びつつ、常にヘッドフォンでCDを聴きながら仕事をしていたわけですが、最近はちょっとクラシック畑を離れて(といっても元々純クラシック一筋というわけではありませんが)、バーデンパウエルとマイケル・ヘッジスにご執心でした。バーデンはちょっと疲れ気味の時なんかにヤツの天に召されているとしか思えない圧倒的なリズムセンスが非常に気持ちいいのです。『ジャンゴの歌』とかヤバイですね。

 ヘッジスは、多分この雑記帳に訪れる人達の音楽層とは少し違った位置にいるギタリストです。彼はウィンダム・ヒルといういわゆる『ニューエイジ・アコースティック』と呼ばれるジャンルの音楽を専門に扱っているレーベルの大御所で、97年に不慮の死を遂げていますが恐ろしいくらいのテクニックを持ったギタリストです。ウィンダム・ヒルの音楽は以前PCKが「ヨークはニューエイジ・アコースティックの影響を受けているんじゃないか」と言っていたように、ヨークみたいなちょっと耳当たりのいいヒーリング系のものです。多分ヨークが好きな人はウィンダム・ヒルの音楽は非常に心にヒットするのではないでしょうか。・・・が、ウィンダム・ヒルのギタリスト達はどいつもこいつも恐ろしいくらいうまいです。はっきり言って化け物だらけです。ヨークと違い、誰も真似できないくらいの技術力を駆使してるのに、それをあっさりすっきりと苦もなく弾いてみせるからぱっと聴いてると凄い簡単な曲のように思える普通の癒し系音楽なのに、どう弾いてるのかを冷静に考えてみると背筋も凍ります。

 マイケル・ヘッジスはその中でも特に際立ったテクニックを持ったウィンダム・ヒルの看板ギタリストで、切れ味鋭いハンマリング(クラシック風に言うならスラー)と正確かつ超高速なハーモニクスが印象的です。藤井敬吾先生もヘッジスのことを賞賛していました。山下和仁が大きく体を揺らすのに演奏が全然乱れないのは、どんなに体が動いても体とギターを位置関係が絶対にずれないからだという話の流れでのことです。

先生:「マイケル・ヘッジスって知ってる?」
ayum:「『AERIAL BOUNDARIES』は持ってますけど・・・」
先生:「そう、僕は全部持ってるけどね」
ayum:「・・・!!!!!」

 などというやりとりの後、「ヘッジスはあんな難しい曲をピョンピョン飛び跳ねながら平気で演奏するからね」と言っていました。只でさえ今の私が聴いてもこれをギター一本でやってるとはとても信じたくないような曲達を、です。『サンバースト』みたいな高速で明るく爽やかなフレーズを、最初は実音で弾いたかと思えば次は突然全部ハーモニクスで弾いてみたり、コードをかき鳴らしているだけのように聴こえるのに何故か至る所からスラーで駆け巡ってる音が聴こえてきたり・・・、とにかく超高度な基本技術の組み合わせと、ギターという楽器の既成概念ごと破壊する超絶な特殊技法の嵐。『ムーンタン』も『リブラ・ソナチネ』も『羽衣伝説』も、ヘッジスに比べれば可愛いものです・・・。しかもそれを音楽の中にさらっと無理なく自然に取り込んでしまうもんだから、ギターを知らない人が聴いたらきっと綺麗で爽やかでお洒落な癒し系、って感じに聴こえてしまうのが凄まじい。まぁ、私が聴くと「いや待て、冷静に考えろ!今のどうやって弾いたんだ!?」ってなのばっかりで、全然、まったく癒されやしませんが(笑)。・・・マイケル・ヘッジス、熱いです。

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