2000年09月18日(月曜日)
寺山修司『電球論』
- ayum
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旅に出る前に本屋で立ち読みして思わず衝動買いしてしまった寺山修司の詩集にはまっています。『寺山修司コレクション2-毒薬物語 全詩集1-』というタイトルからしてなかなかきてます。寺山修司は演劇の方は以前に観たことがあり、そのダークでアングラな世界にかなりそそられたのですが、これもまた・・・。試しに『電球論』という詩の一部を抜粋してみます。
人生論を読みすぎて
たった一人の祖母を銃で殺して埋めた
目撃していたのは
アパートの階段口の薄暗い電球だけであった
私の青春の前途は
これでまったく明るいというのに
電球はいつでも薄暗すぎる
というわけでソケットから電球をはずして
台所口の屑箱の下に埋めてしまった
ざっとこんな感じの詩です。この後折に触れ「電球さん、土の中でもあなたは灯もるの」といった寂しい歌を聴き、電球から離れられない思考が自虐的であるようにも思えるがニヒルかつクールに生活を、聴こえてくる歌を表現していくのが実にシュールで私好みです。表現も「私は大学の研究室で毎日せっせと『動物園の老人たち』に関する論文を書いている」とか「どもりの執事がエスキャルゴ料理について婦人と議論しているという推論、その方程式は親指+ミルクX=ヨーロッパ史の概略、アインシュタインという名の犬を取り締まれ!」とか実にシュール。特異で難解な世界ではありますが、そのシュールな表向きの文字の裏に隠された哲学やら何やらはなかなか私好みのものがあります。その辺を知りたい人は寺山修司の作品を読みましょう。
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