1999年07月28日(水曜日)

街は月には明るすぎて

 今夜は月がとても綺麗でしたね。というか、雲に隠れて月自体は見えないんだけどその月の光が照らす雲が綺麗だった。まるでファイナルファンタジーに出てきそうな感じの、悪くいえば作り物っぽいくらいの幻想的な雰囲気をかもしてました。薄灰色の雲から静かで玲瓏な月の光が後ろから透かすようにして見えているのがたまらなく美しかったのです。

 しかし前にも日記で書いたような気がしますが、本当に月の光を感じるには京都の街は明るすぎますね。月が出てても出てなくても、街の明るさに変わりはないもの。私の田舎では単純に街灯もネオンもないおかげで、月が出るとあからさまに夜の景色の明るさと空気が違うんですよ。高校の部活の帰りにロクに街灯もない両サイドたんぼの道を自転車で帰っていると、ふと「おや、今日はいつもと景色が違うな」って思うんです。そしてふっと空を見ると上には微かに揺れるような光をその身にまとった月が浮かんでいるんです。本当に景色が違って見える程月の光は夜を静かな明るさで照らしてくれるんですよ。私はその月の光の中を気分にまかせて歌なんか歌いながら自転車でのんびり帰るのがとても好きでした。「月の光が明るいなんて昔は知らなかった」と言う人がたまにいますが、今の日本ではそんな体験をしている子供がどんどん少なくなってるんだなと思うと、何かちょっとさみしくなりましたね。街灯やらネオンやら、確かにそれで私達の生活は便利になりましたし、街は華やかにもなったでしょうが、それで失っているものも確かにあるんですね。また去年の8月の日記で書いたものと同じ言葉が頭に浮かんできてしまいました。"周りに明かりが何もないのに、月の光のみによって照らし出された世界にどこか現実離れした美しさを感じるのは私だけでしょうか。月の静かな光の影に、言い表わせない寂寥を感じるのは私だけでしょうか。"

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